脳神経外科手術
脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷などの様々な疾患に対応すべく、通常の開頭手術、手術用顕微鏡を用いたマイクロ手術、神経内視鏡手術を行います。当院では脳外科、脊椎外科手術は必ず脳神経外科専門医あるいは脊椎脊髄外科の専門医が執刀を担当します。また、脳血管内治療は脳血管内治療専門医が担当します
脳血管障害の手術
脳動脈瘤への開頭クリッピング術や、虚血性脳疾患への脳血管バイパス術、頸動脈内膜剥離術など。執刀は日本脳卒中の外科学会技術認定医が行います。一般的に7~10日程度の入院期間となります。
当院の未破裂脳動脈瘤手術
未破裂脳動脈瘤は脳ドックや頭部MRIで見つかる疾患です。
多くの場合存在するだけでは無症状ですが、破裂した場合にはクモ膜下出血を引き起こし致命的となりうる疾患です。大きさが5mm以上の脳動脈瘤はガイドライン上でも治療検討するとされ、一般に同程度のサイズの動脈瘤から年間に1%程度の破裂率を持ちます。
サイズが7mm以上、10mm以上と増大すると破裂率は部位によっては年間3%から7%近くに上昇することが知られています。
また、動脈瘤の形状によってブレブと呼ばれる小さなコブが認められるとさらに破裂率は1.6倍上昇することが知られています。
動脈瘤はこのように部位や場所、大きさ、形によって破裂リスクと治療に伴うリスクが千差万別です。
そのため、その診療・特に治療の判断には十分な経験と知識、技術が必要となります。
当院にはいわゆる“二刀流”と呼ばれる開頭術と脳血管内治療のいずれの治療も行うことが可能な術者が在籍(院長・副院長)しており、それぞれが数百例以上の十分な治療経験があります。
二刀流術者は開頭術と脳血管内治療、双方の治療上のメリットやデメリットを熟知しているので、開頭術と血管内治療のうちの片方の治療のみを専門とする術者よりも患者様の動脈瘤に対してより最適な治療法を提案することが可能です。
開頭クリッピング術(*脳血管内治療の詳細については脳血管内治療(カテーテル治療)のページをご覧ください)は顕微鏡下に行います。
主に中大脳動脈瘤に対しては現在でも脳血管内治療よりも開頭クリッピング術が治療の確実性とリスク面で優れると考えられるケースが少なくありません。
当院では全ての脳動脈瘤のクリッピング術に対して、安全性を高めるために術中の脳機能モニタリング(MEPなど)を行っております。
また、治療難易度の高い複雑な脳動脈瘤に対しても頸部での内頸動脈確保や脳血管バイパス術の併用などの技術的な対応が可能です。
また開頭クリッピング術のみでは治療完遂が難しい動脈瘤に関しても脳血管内治療の併用によって治療が可能になる場合もあります。
脳腫瘍の手術
髄膜腫や神経鞘腫など、主に良性脳腫瘍に対する顕微鏡を用いた摘出術を行います。
良性の脳腫瘍の多くは腫瘍が増大している場合には手術治療の適応となり、当院では様々な脳腫瘍の手術治療が可能です。当院の脳神経外科医は良性脳腫瘍の中でも特に高難度である頭蓋底外科のメッカとされた慶應義塾大学で数年に渡り専門的なトレーニングを受けており、良性脳腫瘍、頭蓋底腫瘍に対する豊富な知識と手術技術を有しています。また当院では頭蓋内腫瘍摘出に特に有用な最先端の超音波手術器を導入し、重要な血管を温存しつつ効率的に腫瘍摘出を行うことが可能です。同機器の導入によって深部の大型腫瘍の摘出も可能となっています。一般に手術可能と考えられる良性腫瘍の手術時間は3−8時間程度、入院期間は7−10日です。
悪性脳腫瘍や深部脳腫瘍に対する手術治療も可能ですが、当院では放射線治療や抗がん剤治療などの後療法は行えないため、患者様のメリットを第一に当該疾患では他医療施設への紹介を優先することもあります。
下垂体腫瘍の手術
下垂体腫瘍の手術治療では現在経鼻内視鏡治療が現在の主流となっています。当院では最新の手術用神経内視鏡を導入し、非機能性下垂体腫瘍への手術治療が可能です。下垂体腫瘍への手術は日本神経内視鏡学会技術認定医が実施いたします。
片側顔面痙攣の手術
顔面の筋肉を司る顔面神経を血管が圧迫することによって片側顔面痙攣が起こります。片側顔面痙攣への最も根本的な治療は手術治療となります。この手術は微小血管減圧術(MVD)と呼ばれ、神経を圧迫する原因となっている血管を神経から遠ざけることで圧迫を解除します。この手術は顕微鏡下の繊細な手技と術中の神経モニタリングが必須となる治療ですが、傷は小さく3〜5cm程度の耳の裏側の切開で手術治療が可能です。
手術治療では一般的に3~5時間程度の手術時間、5〜7日程度の入院期間となります。また、ボツリヌス毒素の注射による外来治療も当院で行なっています。